小山様ご健在 尾崎弘和は無敵の快進撃 守屋舞香率いる椙山がインカレ優勝

2014年9月〜2015年3月 小山様周辺の活躍総集編

(その3:2015年3月分)







名部長・守屋舞香 椙山を日本一に導く
—蘇った天下の名チーム 小山流チーム作りの賜物—

(2015/3/7-8 インカレ)


表彰台でマイクを握る椙山のチームリーダーの守屋氏。 撮影:小山様ファンクラブ。

 学生日本一を競う大会として日本中の学生クラブが1年間の最大の目標に掲げる 日本学生オリエンテーリング選手権大会(通称:インカレ)が 2015年3月7日〜8日、愛知県東部にある「作手高原」で開催されました。 全国から選手権・一般合わせて800人あまりが参加し、熱戦を繰り広げました。

椙山女学園大学が大活躍

 2005年に日本で初めて世界選手権を開催した 国内最大のオリエンテーリングの本場・愛知。 ここに全国屈指の名チームがあります。 椙山女学園大学オリエンテーリング部。 2008年以降のインカレ入賞回数は 秋の個人戦ロング競技、春の個人戦ミドル競技、リレー競技のいずれにおいても全国最多。 学生のうちから地域クラブに入会する選手数も全国最高水準。 毎年のようにユニバーシアードやジュニア世界選手権に日本代表を送り込み、 その類稀な名チームぶりに敬意を込めて地元では「名椙チーム」と呼ばれています。

 今回のインカレでひときわ活躍が目立ったのがこの椙山女学園大学でした。 初日のミドル競技では選手権クラスで守屋舞香、星美沙の2選手が入賞。 一般クラスでも神谷玲花選手がWUAクラスで優勝しました。 選手権クラスで2人の入賞者を出した大学、 選手権・一般合わせて3人の入賞者を出した大学、 いずれも女子では全国で唯一、この椙山女学園だけという快挙です。

 そして迎えた翌日のリレー。 前日入賞の準エース・星美沙が実力通りの走りでトップで帰還すると、 2走・伊東佑子もミス率を7%に抑え、 得意の走力も活かしてトップで3走のエース・守屋舞香にたすきをつなぎます。 この時点で2位の金沢大学との差は約5分。 たすきを受けた守屋舞香、全体のトップの41:25のタイムで回り、 最終的に2位の金沢大に9分、特別表彰の立教・武蔵野混成チームにも7分の大差をつけて 圧勝しました。

 リレーでは一般クラスでも椙山の一軍チームが2位入賞を果たしました。

♦インカレ1日目ミドル競技  女子選手権クラス決勝(WEA)の成績(LapCenterより抜粋)
順位氏名記録所属
1稲毛日菜子0:33:57お茶の水女子大学
2守屋舞香0:37:04椙山女学園大学
3宮川 早穂0:39:31立教大学
4松田 沙也加0:42:23岩手大学
5阿部ちひろ0:44:09大阪大学
6星美沙0:44:19椙山女学園大学

♦インカレ1日目ミドル競技  女子一般最上位クラス(WUA)の成績(LapCenterより抜粋)
順位氏名記録所属
1神谷玲花0:20:25椙山女学園大学
2森田桜織0:20:42横浜市立大学
3田中圭0:21:00武蔵野大学

♦インカレ1日目ミドル競技での大学別入賞者数(女子)
大学選手権決勝(WEA)その他のクラス合計チームリーダー
椙山女学園大学213守屋舞香
立教大学112宮川早穂
宮城学院女子大学022 
お茶の水女子大学101 
岩手大学101 
大阪大学101 
東京大学011 
群馬大学011 
横浜市立大学011 
武蔵野大学011 
実践女子大学011 
筑波大学011野本圭介
東北大学011 
慶應義塾大学011 

♦インカレ2日目リレー競技  女子選手権クラス(WE)の成績(LapCenterより抜粋)
上段=氏名
中段=コースパターン、個人タイム、パターン内順位
下段=年齢性別、経過タイム、経過順位
1 椙山女学園大学 星美沙 伊東佑子 守屋舞香
2:18:33
(53)
ay 0:48:43 2 bz 0:48:25 2 cx 0:41:25 1
4女 0:48:43 1 3女 1:37:08 1 3女 2:18:33 1
特別 立教・武蔵野混成 田中 圭 宮川 早穂 松島 彩夏
2:25:49
(91)
ay 0:50:52 3 bz 0:46:49 1 cx 0:48:08 2
2女 0:50:52 2 3女 1:37:41 2 2女 2:25:49 2
2 金沢大学 木村 史依 山梨 栞 五味 あずさ
2:27:53
(54)
by 0:52:40 1 cz 0:49:05 2 ax 0:46:08 1
2女 0:52:40 3 3女 1:41:45 3 3女 2:27:53 3
3 早稲田大学 山田陽子 中村 茉菜 渡邉彩子
2:42:18
(57)
cx 0:54:13 3 ay 0:52:34 4 bz 0:55:31 4
4女 0:54:13 8 2女 1:46:47 4 4女 2:42:18 4
4 京都女子大学 大井綾 前之園知江 野島貴子
2:46:25
(60)
ax 0:52:54 2 by 1:05:33 4 cz 0:47:58 1
4女 0:52:54 4 4女 1:58:27 10 4女 2:46:25 5
5 宮城学院女子大学 針生佳奈 菊地健美 齋藤菜津美
2:46:39
(56)
bz 0:55:59 5 cx 0:57:29 5 ay 0:53:11 5
2女 0:55:59 11 3女 1:53:28 6 4女 2:46:39 6
6 名古屋大学 川島実紗 渡辺 菜央美 松井恵理子
2:48:34
(58)
bx 0:53:27 1 cy 1:02:31 6 az 0:52:36 2
2女 0:53:27 5 3女 1:55:58 8 4女 2:48:34 7

♦インカレ2日目リレー競技  女子一般クラス(WUR)の成績(LapCenterより抜粋)
上段=氏名
中段=コースパターン、個人タイム、パターン内順位
下段=年齢性別、経過タイム、経過順位
1 金沢 WA 荒井 清美 野澤 麻乃 松岡 里沙
1:07:50
(307)
wc 0:22:38 11 wb 0:24:15 16 wa 0:20:57 13
3女 0:22:38 1 4女 0:46:53 1 4女 1:07:50 1
2 椙山女学園 WA 神谷玲花 藤未加子 佐藤あかね
1:08:26
(323)
wb 0:22:46 10 wc 0:24:14 14 wa 0:21:26 14
3女 0:22:46 2 4女 0:47:00 2 3女 1:08:26 2
3 宮城学院女子 WE 鎌田 真苗 三好 花奈 庄司 陽香
1:19:52
(306) 新人
wb 0:25:04 19 wc 0:26:03 21 wa 0:28:45 37
1女 0:25:04 7 1女 0:51:07 4 1女 1:19:52 3

♦2008〜2014年度のインカレ選手権クラス入賞回数(女子)
入賞回数ロング競技ミドル競技リレー競技
7回 椙山 
6回  椙山
5回椙山東北, 岩手東北, 金沢
4回東北, 岩手, お茶の水津田塾, お茶の水岩手
3回相模女子, 横浜市立, 東大相模女子, 新潟相模女子, お茶の水

ロング競技の入賞校
年度1位2位3位4位5位6位
2008京都東北日本女子相模女子椙山宮城学院女子
2009十文字筑波東工大津田塾椙山新潟
2010十文字新潟椙山東北椙山日本女子
2011岩手相模女子東北岩手横浜市立東北
2012お茶の水立教お茶の水相模女子横浜市立岩手
2013お茶の水岩手横浜市立金沢東大椙山
2014お茶の水立教東大金沢東大筑波

ミドル競技の入賞校
年度1位2位3位4位5位6位
2008日本女子東北椙山相模女子新潟東北
2009十文字津田塾東北椙山新潟東工大
2010椙山十文字新潟東北津田塾東工大
2011相模女子岩手津田塾お茶の水東北椙山
2012お茶の水岩手相模女子お茶の水津田塾横浜市立
2013立教岩手金沢椙山横浜市立岩手
2014お茶の水椙山立教岩手大阪椙山

リレー競技の入賞校
年度1位2位3位4位5位6位
2008東北椙山日本女子筑波相模女子東京農工
2009椙山東北宮城学院女子岩手東京農工金沢
2010椙山実践東北千葉相模女子岩手
2011金沢お茶の水岩手東北椙山相模女子
2012新潟岩手金沢横浜市立津田塾お茶の水
2013お茶の水横浜市立椙山金沢新潟東北
2014椙山金沢早稲田京都女子宮城学院女子名古屋

椙山を立て直した守屋舞香の小山流チーム作り

 今回のインカレで圧倒的な強さを見せた椙山ですが、 そこに至る道のりは決して平坦ではありませんでした。 2014年前半、どういうわけか選手が一斉にトレーニングをしなくなってしまったのです。 結果、秋のインカレでは椙山ともあろうに 何と選手権・一般クラスとも入賞者ゼロという惨敗でした。

 椙山に転機をもたらしたのは部長でエースでもある守屋舞香氏(3年(当時))の オリエンテーリングクラブ・トータスへの入会でした。 関係者の話によれば守屋氏のトータス入会は9月のクラブ7人リレーの頃とのこと。 入会後に小山様からチーム作りのコツを教わったのでしょう。 守屋氏はこの後、類稀な名部長としての才覚を存分に発揮して 椙山を立て直していきます。

 守屋氏のチーム作りの成果は椙山生の走行距離の推移(下図)から読み取れます。 最も多く走った選手(赤)については半月あたり70km前後の水準を終始キープしていますが、 走行距離第2位、第3位の選手(青、緑)に関して見ますと 6月から8月にかけて急速にトレーニング量が減少し、 8月後半には半月あたり20km前後の水準にまで落ち込んでしまいました。 それが守屋氏がトータスに入会した9月を境に一転、トレーニング量が急増しています。 トレーニング量4〜6位の選手(紫、橙、水色)に関しては8月までトレーニングは 皆無に近い状態でしたが、守屋氏がトータスに入会した9月を境に 徐々にトレーニング量が増え、11月以降は安定して高い水準で推移しました。 守屋氏の小山流チーム作りの成果がクラブに浸透するにつれ 椙山生のトレーニング量、競技に対するモチベーションが 目に見えて向上していったことが分かります。


2014年6月〜2015年2月の椙山生の走行距離の推移。 半月毎の走行距離(上位6人)を多い順に赤、青、緑、紫、橙、水色で示しています。 毎月1〜15日を前半、16日以降を後半とし、15日あたりの距離に換算しました。

 その成果はまず12月の全日本リレーに現れました。 全日本リレーは都道府県対抗で行われ、 各クラスの順位に応じた点数の合計で総合優勝が決まります。 今回の全日本リレーで優勝したのは椙山の地元・愛知。 椙山の選手たちが出場した女子年齢無制限クラス(WE)で優勝して9点、 女子21歳以下のクラス(WJ)では1位・2位を独占する活躍で6点を獲得し、 愛知の勝利に大きく貢献しました。

全日本リレーでの椙山の選手の活躍
チーム順位得点1走2走3走
WE11位9点星美沙落合志保子守屋舞香
ME13位7点谷川友太堀田遼細川知希
MJ91位6点橋本知明角田貴大宮西優太郎
WJ11位6点神谷玲花伊東佑子川島実紗
XJ11位6点宮嶋大輔祖父江有祐梅本航聖
XV12位5点粟野義明岡野英雄小幡昭次
MS14位(3点)竹内利樹田中公悟山口尚宏
WS11位(2点)村越久子鳥羽都子加納尚子
WV11位(1点)三井由美長瀬朋子鈴木幸子
MV17位(1点)角岡明宮崎敦司新家秀男
WJ22位佐藤あかね伊藤沙恵渡辺菜央美
MJ32位岩瀬史明和佐田祥太朗石山良太
  • 全日本リレーはクラス毎に順位に応じた得点がつき、 その合計点で都道府県対抗で競う方式。
  • 各クラスとも1都道府県につき最上位の1チームのみ得点がつくため、 表彰台に上がったが得点がつかないチームもある(表中では「—」で表記)。
  • ME,WE以外は最も点数が高い4クラスの合計点で競うため、 ()書きの得点は都道府県対抗の総合点には反映されない。
  • チーム名の先頭の2文字がクラス名を表す。 M:男子、W:女子、E:年齢無制限、J:21歳以下、S:男性35歳以上/女性30歳以上、 V:男性50歳以上/女性45歳以上、XV:男性65歳以上または女性50歳以上、 XJ:男女15歳以下
  • が椙山の選手。

 守屋氏は更に、リレー代表メンバーの選考時期を例年よりも早めるように コーチ陣に対して提案しました。 提案のポイントは
  1. メンバーを決めてから、その3人でどのようなレース内容に持っていくのが理想なのか、 どんな状況でもいつも通りのレースが出来るような イメージトレーニングなど時間を取って話し合う場が必要
  2. 一緒にトレしたりご飯を食べにいったりと、 信頼できる仲間として精神的に打ち解け合う時間が欲しい
というものでした。 部員たちとの友情を何よりも大切にする小山流チーム作りの基本を しっかりと意識した提案になっていることが分かります。

 この作戦が的中します。 実はリレー代表メンバーが内定した当初、他大学との勝負の展開を意識して 最終的にインカレで採用したのとは違う走順を考えていたのです。 しかし幾度かの試行錯誤の後、他大学との勝負よりも自分たちのレースをすることを 重視しようということで3人の考えがまとまり、 1走:星美沙、2走:伊東佑子、3走:守屋舞香という走順に落ち着きました。 走順そのものの良し悪しもですが、 十分な時間をかけて3人全員が納得した走順であったことが自信につながり、 勝利を呼び込んだという見方もできます。

 優勝後のインタビューでこんなやり取りがありました。 3人の中ではやや実績が少ない伊東佑子氏へのインタビューで、 他の2人への気後れのようなものは無かったかという趣旨の質問が出ました。 それに対して伊東佑子氏、むしろ他の2人が十分な実績を持っているからこそ 安心して走れたと迷わず答えたのです。 こうしたやり取りからも3人の間の強い絆が勝利の鍵になったことが見て取れます。


優勝が決まり、喜びを分かち合う椙山の選手たち。 撮影:小山様ファンクラブ。

椙山以外の活躍

 今回のインカレでは椙山以外にも小山様の教え子たちの チーム作りの成果が多く見られました。 小山様の筆頭愛弟子の尾崎弘和選手がチームリーダーとして率いる早稲田大学は 尾崎選手の入部以来、年々チーム力を増してきています。 今やファンクラブが把握しているだけでも少なくとも5人の選手がトータス会員。 その中からは日本代表選手や各種大会での入賞者を多数輩出し、 尾崎選手のチーム作りが大成功を収めていることがよく分かります。

 その早稲田大学。今回のインカレではリレーで男女ともに入賞という 快挙を成し遂げました。 入賞メンバー6人のうちの5人が上記のトータス会員という構成。 尾崎選手の影響を最も強く受けてきた選手たちが大活躍したことが分かります。 当の尾崎選手は初日のミドル競技でも4位に入り、6大会連続入賞を達成しました。

 椙山以外で一番活躍した女子チームはトータス会員の宮川早穂選手が率いる立教大学。 初日のミドル競技では選手権入賞1人、一般の部の入賞1人と椙山に次ぐ活躍を見せ、 2日目のリレーでは全26チーム中で唯一、 第2走者のフィニッシュまでトップの椙山と接戦を繰り広げ、 最終順位でも椙山に次ぐ第2位に入りました。

♦1日目ミドル競技  男子選手権クラス決勝(MEA)の成績(LapCenterより抜粋)
順位氏名記録所属
1松下睦生0:37:32京都大学
2宮西優太郎0:39:14東北大学
3糸賀翔大0:39:15東京大学
4尾崎弘和0:39:33早稲田大学
5福井 悠太0:39:58東京大学
6糸井川 壮大0:40:20京都大学

♦2日目リレー競技  男子選手権クラス(ME)の成績(LapCenterより抜粋)
上段=氏名
中段=コースパターン、個人タイム、パターン内順位
下段=年齢性別、経過タイム、経過順位
1 ME 東京大学 深田 恒 福井 悠太 糸賀翔大
2:35:52
(1)
bqx 0:54:31 1 cry 0:52:05 1 apz 0:49:16 1
3男 0:54:31 3 3男 1:46:36 1 4男 2:35:52 1
2 ME 京都大学 安中勇大 糸井川 壮大 松下睦生
2:38:12
(4)
apx 0:54:46 2 bqy 0:52:03 1 crz 0:51:23 1
4男 0:54:46 4 3男 1:46:49 2 4男 2:38:12 2
3 ME 東北大学 西本 昌史 杉村 俊輔 宮西優太郎
2:41:14
(12)
bqy 0:54:53 2 crz 0:53:53 2 apx 0:52:28 1
4男 0:54:53 5 4男 1:48:46 4 3男 2:41:14 3
4 ME 新潟大学 佐藤 颯汰 村田 祐貴 山本 遼平
2:45:40
(8)
cqz 0:53:48 1 arx 0:53:39 1 bpy 0:58:13 2
4男 0:53:48 1 4男 1:47:27 3 4男 2:45:40 4
5 ME 金沢大学 大竹 達也 島倉 侑志 松澤 卓也
2:46:38
(7)
bpy 0:56:37 1 cqz 0:56:07 2 arx 0:53:54 2
2男 0:56:37 10 3男 1:52:44 6 4男 2:46:38 5
6 ME 早稲田大学 藤村陸 澤口 弘樹 尾崎弘和
2:47:13
(3)
bqz 0:59:16 1 crx 0:55:42 2 apy 0:52:15 1
4男 0:59:16 15 2男 1:54:58 7 4男 2:47:13 6

♦尾崎選手の過去のインカレでの順位
年度 競技種目 順位 入賞
2011年度(1年) 秋個人(ロング) 14位  
春個人(ミドル) 29位  
リレー 10位(早稲田1走)  
2012年度(2年) 秋個人(ロング) 3位
春個人(ミドル) 4位
リレー 8位(早稲田2走)  
2013年度(3年) 秋個人(ロング) 1位
春個人(ミドル) 3位
リレー 3位(早稲田2走)
2014年度(4年) 秋個人(ロング) 5位
春個人(ミドル) 4位
リレー 6位(早稲田3走)


やはり尾崎弘和は日本一!
—小山様が育てた最高の名選手 全日本選手権制す—

(2014/3/29 全日本選手権大会)

 インカレが学生日本一を競う大会なら 中学・高校生や社会人も含めた日本中の全てのオリエンティアが一同に会して 日本一を競うのが全日本選手権大会。 最近では全日本スプリントや全日本ミドルなど様々な競技種目が登場してきていますが、 これら一連の全日本系の大会の中で一番長い伝統を誇るのが 毎年春に開催されている全日本選手権大会(ロング競技)です。 日本のオリエンテーリング競技の最高峰とも言えるこの大会、 今年は3月29日(日)に福島県二本松市で開催され、 日本中から名だたる名選手たちが集まりました。 最上級クラスのM21Eに出場したのは23人。 そのうちの実に9人が2014年度の世界選手権、ユニバーシアード、 ジュニア世界選手権のいずれかの日本代表で、 更にあと5人が過去3年以内の世界選手権日本代表という超豪華メンバー。 まさしく参加者の大半が優勝しても不思議ではないレベルの名選手という顔ぶれで 史上稀に見る極めてハイレベルな競い合いが繰り広げられました。

 その中でひときわ異才を放ったのはやはりあの名選手でした。 オリエンテーリング歴11年にして小山様の教え子歴も11年、 麻布中学でオリエンテーリングを始めた当初から小山様の名指導を受けて育ってきた 元祖・小山様系オリエンティア、その名も尾崎弘和。 尾崎選手は強豪ひしめくこのレースで全23選手中で唯一、 巡航速度100%を切り、 ミスも1分程度の小さなものを2ヶ所だけに抑えて優勝を勝ち取りました。 尾崎選手は世界選手権などで日本代表の中でも最高レベルの活躍を続け、 日本オリエンテーリング界が誇る最高の名選手として絶賛され続けてきましたが、 今回の優勝でまさしく正真正銘の日本一になりました。

♦M21Eクラスの成績(LapCenterから抜粋)
順位氏名記録所属巡航速度(%)ミス率(%)トップラップ数
1尾崎 弘和トータス1:27:1599.76.43
2細川知希名古屋大学OB1:28:23101.66.66
3谷川友太OLCルーパー1:28:46102.25.70
4小泉成行オー・サポート1:28:48102.95.31
5松井健哉OLCルーパー1:29:34100.28.52
6松下睦生京大OLC1:30:27103.96.32

♦日本オリエンテーリング協会会長から全日本選手権者のトロフィーを受け取る 尾崎選手(撮影:小山様ファンクラブ)



小山流チーム作りの成果が続々 —まとめに代えて—

 この半年間、特に目立ったのが 色々なところで行われてきたチーム作りの成果でした。 一選手として伸び悩みながらもリレー大会でチームを2度にわたり 入賞に導いた小山様の筆頭教え子の野本圭介。 トータスに入会して短期間で小山流チーム作り術を学び取り、 椙山を日本一に導いてみせた類稀な名部長・守屋舞香。 彼ら・彼女らの活躍は小山様の教え子の中から 単に一選手としてオリエンテーリングが速いだけでなく チーム作りにおいても小山様の後継者の候補となりうる逸材が 少しずつ育ってきていることを示しています。

 今期間、小山様の周辺以外で一番活躍が目立ったのが愛知勢でした。 東海中学・高校のインターハイでの無敵の活躍、椙山女学園大学のインカレ優勝、 愛知県の全日本リレー優勝。3月の全日本選手権大会では M21Eクラスで6人の入賞者のうちの3人を愛知勢が占め、 M20Eクラスでは多数の大学生をおさえて東海高校生が2位に入りました。 こうした活躍について、愛知を長く見てこられた松澤俊行氏(東工大元コーチ)は 県単位で取り組んできた選手育成の成果と評しています。 確かに愛知にはクラブの垣根を超え、年代の垣根も超え、 県全体で一丸となって競技力向上に取り組む文化が根付いています。 そして愛知県の競技力向上の軸となってきたのはジュニア・若手の育成でした。 愛知県と小山様の間に直接的な接点はありませんが、 何をどう試行錯誤して今の形に辿り着いたか、 結果的に愛知の取り組みはトータスとよく似た方向性を持っていることが分かります。 この点で愛知勢の活躍もまた広い意味で小山流チーム作りの正しさを示すものと 言えるかもしれません。

 小山様はいま、想像を絶するご多忙な日々を過ごされています。 その中にあって麻布学園を、東工大を、トータスを、そして日本のオリエンテーリングを 維持し発展させていくために何より必要とされるのが本当の意味での小山様の後継者、 すなわち第2・第3のチーム作りの天才であることは言うまでもありません。 そして小山様の後継者たりうるのは尾崎弘和に野本圭介、戸上直哉、守屋舞香、 その他小山様の教えを受けた愛弟子たちです。 小山様ファンクラブでは小山様の周辺人物たちの選手としての活躍はもちろんのこと、 チーム作りにも注目して記事を書いていきます。


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