【祝・聖女降臨】連載:2030年代の日本のオリエンテーリングを占う

第1回 聖女がJWOCで活躍する日はいつ?

(2015年8月18日 掲載)

1966年6月26日、東京都の高尾山で日本初のオリエンテーリングが行われました。 その日から数えること49年あまり。日数にして実に17884日。 この間、歴代の日本オリエンテーリング界のトップ選手たち・先駆者たちが 寝ても覚めても願い続けたことがありました。 世界の一線で活躍する超一流スーパースターの誕生。 これこそは将来有望な若き名選手たちに夢と希望を与え、 と同時に世間一般でのオリエンテーリングの知名度・人気を一気に向上させて メジャースポーツへと這い上がるための特効薬と考えられてきたのです。

そして今、日本オリエンテーリング界のこの長年の悲願は実現に大きく近づいています。 「妻が母にアップグレードされました」。 2015年6月13日、小山温史公式twitterに載ったその16文字。 過去に数えきれないほどの名選手たちを育て上げ 「チーム作りの天才」「選手育成の名人」として喝采を浴び続ける小山様の 実の娘の誕生、まさしく聖女降臨。 小山様ならば娘を世界最高の名選手に育て上げるに違いない。 そんな期待がオリエンティアの間に広まりつつあります。

一体聖女はどこまで凄い選手に成長するのか。活躍はいつ見られるのか。 この連載記事では今後1年間にわたり、 過去の様々なデータを用いて聖女の活躍を予想していきます。 第1回の今回は聖女にとっての最初の大舞台となる ジュニア世界選手権(JWOC)での活躍がいつになるかを 考えていきます。



ルール上可能な最初の活躍のチャンスはいつ?

JWOCはジュニア世界一を決める大会で、毎年開催されています。 ではこの大会には何歳以上の選手が参加できるのでしょうか?

2015年のJWOCの要項1を見ると 「Classes and participation restrictions (クラスと参加制限)」 の項目に以下のように記述されています。

W 20, M 20. All competitors must be born in or after 1995 and must be full passport holding citizens of the country they are representing.

したがって参加資格として年齢の上限はありますが下限は無いことが分かります。 パスポートを所持していることという条件はありますが、 日本人であればパスポートは年齢に関係無く取得できます。 ですから極端な話、0歳の赤ちゃんでも JWOCに出場することはルール上は可能なわけです。

それではJWOC日本代表を選ぶ国内のルールはどうなっているでしょうか。 2015年の場合を例に取ると、代表選手選考会は4/12に行われました。 その要項を見ますと、JWOCのセレクションクラスへの参加資格は 「1995年1月1日以降生まれ」かつ 「2015年3月10日(火)までにアドバンスト選手登録した」者となっています。 アドバンスト選手登録というのは日本オリエンテーリング協会(JOA)から 競技力向上のためのサポートなどを得るための制度ですが、 このアドバンスト選手登録の条件がJWOC日本代表の年齢の下限に関係してきます。

アドバンスト選手登録の詳細 によれば、登録には以下の条件を満たす必要があります。
  1. JOA競技者登録者
  2. 将来的にエリートクラスを走ることを目標にしており、 各年代でAクラスを走れる実力を持つ選手
競技者登録には年齢制限はありません。 一方、「各年代でAクラスを走れる実力を持つ選手」の条件ですが、 そもそもAクラス(上級クラス)が存在するのは中学生以上を対象としたクラスで、 そのクラスに参加できるのは小学校5年生以上となります。

(参考)
日本オリエンテーリング競技規則および関連規則類の運用に関するガイドラインからの抜粋

  • 20歳以下のクラス分けは、学年(小学生、中学生、高校生、大学 1・2 年)を基本と する。ただし、M/W20クラスを除いて、この基本とするクラス(M/W20、M/W18、 M/W15、M/W12、M/W10)に対して1ランク上のクラスに参加できる。
  • 小学生については、A、Bの区別はしない。

以上、少し込み入った話でしたがまとめますと
となります。

したがって 小学校5年生でW15Aクラスに参加、 そこで実力を示してアドバンスト選手登録し、 翌年のJWOC選考会で選ばれて小学校6年生でJWOCに初参戦 というのが現在のルール上可能な一番早いJWOC参加シナリオとなります。

現実には小学校6年生でのJWOC日本代表入りというのはとてつもなく凄いことですが、 仮に小山様の聖女がこの偉業を達成された場合、 2027年のJWOCで聖女の活躍を最初に見られる 計算になります。



過去のJWOCチャンピオンの年齢は?

次に、聖女がJWOCの頂点に立つのはいつか、という問題を考えてみましょう。 これには過去のJWOCチャンピオンの年齢を調べるのが有用と思われます。 この調査には Runners.WorldofO.com に載っている過去のJWOCチャンピオンの氏名と生年月日、および IOF Eventor に載っている選手の生年月日の情報を併用しました。

なお、日本国内の大会では3月31日までに達する年齢が用いられますが、 JWOCで基準となるのは12月31日までに達する年齢です。 例えば1995年1月1日生まれの選手の場合、 2015年7月開催の大会でのオリエンテーリング年齢は 日本国内の大会では21歳ですがJWOCでは20歳となります。 下の表での年齢はこのJWOC基準で計算しました。 聖女の場合は6月生まれでJWOCは夏に開催されますので どちらの基準でもJWOC開催日時点での年齢は同じです。

過去のジュニア世界選手権(JWOC)での優勝者と年齢
開催年 ロング競技 ミドル競技 スプリント競技
2015 Sara Hagstrom (20) Anine Ahlsand (19) Simona Aebersold (17)
2014 Gunvor Hov Hoydal (20) Sina Tommer (20) Sara Hagstrom (19)
2013 Lisa Risby (20) Miri Thrane Odum (18) Heidi Mårtensson (18)
2012 Kirsi Nurmi (20) Tove Alexandersson (20) Tove Alexandersson (20)
2011 Ida Bobach (20) Ida Bobach (20) Ida Bobach (20)
2010 Ida Bobach (19) Tove Alexandersson (18) Ida Bobach (19)
2009 Ida Bobach (18) Tove Alexandersson (17) Jenny Lönnkvist (20)
2008 Jenny Lönnkvist (19) Venla Niemi (18) Emma Klingenberg (16)
2007 Siri Ulvestad (19) Jenny Lönnkvist (18) Eva Svensson (?)
2006 Hanny Allston (20) Betty Ann Bjerkreim Nilsen (20) Ingunn Hultgreen Weltzien (20)
2005 Mari Fasting (20) Anna Persson (19)
2004 Silja Tarvonen (?) Helena Jansson (19)
2003 Martina Zverinova (20) Laura Hokka (20)
2002 Tiina Kivimäki (?) Minna Kauppi (20)
2001 Dana Safka Brožková (20) Minna Kauppi (19)
2000 Tatyana Riabkina (20) Camilla Berglund (19)
1999 Regula Hulliger (20) Regula Hulliger (20)
1998 Hanna Heiskanen (?) Tatyana Riabkina (18)
1997 Simone Niggli (19) Hanna Heiskanen (?)
1996 Eniko Fey (19) Eniko Fey (19)
1995 Christina Grøndahl (?) Christina Grøndahl (?)
1994 Christina Grondahl (?) Synne Lea (?)
1993 Liisa Anttila (19) Tenna Norgaard (20)
1992 Barbara Bączek-Motała (20) Barbara Bączek-Motała (20)
1991 Mari Lukkarinen (?) Kristin Liebich (?)
1990 Mikael Boström (?)

昔の選手を中心に年齢を割り出せなかった選手もおりますが、 全体的に見て19歳や20歳でのチャンピオンの割合が多い ことが分かります。 年齢を割り出せた選手の中で一番若いJWOCチャンピオンは 2008年のEmma Klingenberg選手(当時16歳)です。

これらのデータをもとに順当に20歳で優勝すると予想するか、 それとも歴代の記録を塗り替える15歳の若さでの初優勝を予想するか、 そこは皆さんの予想にお任せします。 仮に15歳で優勝するとしたら2030年、 20歳で優勝するとしたら2035年になります。 遠い先の話ではありますが、多くの皆さんが生きているうちに 日本人初のJWOCチャンピオンを見られるなんて夢のような話ですね。



連載記事第2回は9月下旬頃を目処に掲載予定です。お楽しみに。


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